年一回決算申告では、以下のような質問をして、決算を確定させ、税額を算出していきます。
専門的な表現もありますが、分かりづらい項目はご遠慮なくご質問ください。
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以下の項目は、法人申告にあたり、会計と税務でズレの生じやすい項目です。
「YES」となる項目はそのままでOKですが、もしYESとならない項目がある場合、決算仕訳を追加登録するか、税務申告書上で調整する必要があります。
売上
- 発生した収益は、入金がない場合も含めて、すべて当期の収益に計上したか。
売上などの収益は、期中は現金を受領したり、通帳に入金された時に売上記帳しているかもしれませんが、決算時には、決算日までに商品を販売したり、サービスの提供が完了したものは、まだ入金されていなくても、決算仕訳として売上計上する必要があります。
仕入
- 仕入計上額のうち、期末在庫等は、資産科目(棚卸資産等)に振り替えたか。
当期に購入した商品や製品はすべて当期の経費にできません。
売上のため払い出された商品や製品のみが経費計上できます。
このため、期末に在庫として残っている商品や製品は在庫として資産に計上する必要があります。
役員報酬
- 定款もしくは株主総会等で定めた支給額もしくは支給限度内の支給となっているか。
- 毎月同じ金額を計上しているか。
- 改定は、当該会計期間開始の日から3か月を経過する日までとなっているか。
- その他、経済的利益の享受はないか。
- みなし役員はいないか(経営に従事している役員以外のもの)
税務上で役員報酬を経費として落とすためには、定款や株主総会などで定めた金額の範囲内で、毎月の役員報酬を同じ金額とする必要がります。
これを間違えると、役員報酬を税務上で経費処理できないため、節税のためにも、期中から慎重に手続きしていく必要があります。
租税公課
- 延滞税、加算税、過怠税などの性質(損金計上できない)のものはないか。
税金を滞納したり、税金計算を間違えた場合など、延滞税や加算税などを支払う場合があります。
これらは、決算上は経費として処理できますが、税務上は損金として処理できません。
このため、税務申告書上で経費処理した延滞税や加算税などを取り消す処理が必要になります。
接待交際費
- 接待交際費勘定以外の科目で計上している該当支出はないか。
接待交際費勘定以外の科目で計上している該当支出はないか。
会計上、接待交際費は経費処理されますが、税務上は年間800万円を超える接待交際費などを経費にできない場合があります。
このため、例えば会議費や福利厚生費などの勘定科目に計上している場合であっても、接待交際費に該当する支出であれば、接待交際費として認識し、税務上の交際費を検討する必要があります。
修繕費
- 資産の価値を高める、もしくは、耐久性が増すような支出はないか。
その他経費
- 前払費用のうち、支払った日から1年超に渡るサービスの対価を経費計上しているものはないか。
保険料や保守料など継続的にサービス提供を受けるための支出のうち、支払った金額が、1年以内にサービスの提供を受けるものは、まだサービスを受けていないものも含めて費用計上できます。
しかし、支払った日から1年超に渡りサービスの提供を受けるものは、まだサービスを受けていない部分すべてを前払費用として資産計上する必要があります。
- 未払項目のうち、債務が確定していないものを見越し計上しているものはないか。
契約などで金額が確定している経費については、まだ未払であっても経費計上できるのですが、金額が確定していないものについては、当期はまだ税務上では経費となりません。
- その他費用計上項目のうち、資産計上すべき性質のものはないか。
固定資産
- 税務上の耐用年数と異なる耐用年数を用いた固定資産はないか。
- 10万円以上は固定資産として計上する必要があるが、費用化したものはないか。
- 10万円以上20万円未満までのもので一括償却資産として計上するものはないか。
- 10万円以上30万円未満までのもので少額資産として計上するものはないか。
以下の項目は、「YES」の場合は、税務申告書作成上で、追加の別表を作成、または、税金計算の調整が必要になる場合があり、追加の手続が必要になる項目です。
- 株主の異動はないか
- 資本取引(増資、減資、その他資本取引)はないか
- 外貨建資産、外貨建取引はないか
- 代表者もしくは同族関係者と会社の取引はないか
- 未計上の未収リベートや受贈益はないか
- 所得拡大促進税制を予定しているか
- 申告期限延長の有無
- 資本金1億円以下か(資本金1億円超の法人株主はいないか)
- 過年度の申告はしているか
- 青色申告の承認を受けているか、また取り消されていないか
- 店舗、支店等人員がいる設備は何か所あるか
- 子会社はあるか
- 海外の支店や子会社はあるか
消費税申告について
- 消費税申告の有無
- 簡易課税の申請をしているか
- 消費税区分を適切に区分して記帳しているか
- 会計ソフトから課税区分表を出力できるか
- 消費税の処理方法