保有資産ごとの資産管理会社設立のメリット

ここでは保有する資産ごとに、資産管理会社を設立するメリットを記載していきます。

① 投資不動産

不動産賃貸業は個人では総合課税として高い税率(所得に応じて最大55.945%、また不動産貸付業として事業税率5%)となりやすく、法人(中小法人では、所得800万円まで実効税率23%前後、800万円超でも33.5%程度)で運用した方が優位になりやすいといえます。

この点に資産管理会社で不動産を保有する優位性があるのですが、留意事項もあります。

1) 法人の場合、不動産の相続税評価額が市場時価ではなく路線価により評価できるのは、不動産を取得してから3年経過してからとなります。

2) 相続税の計算において、個人では適用可能性がある小規模宅地の評価減(土地の評価額が相続税評価額からさらに50%減となる)が法人では適用できません。

3) 不動産を売却した場合の税率は、個人では、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年超の場合、税率は20.315%となり、所得に応じて段階的に税率が上がる総合課税からは分離されます。

一方、法人が不動産を売却した場合の税率は、賃料収入等から生じる所得と合算され、実効税率は33.5%程度と一定です(個人のように他の所得から分離されません。)。

このような点を考慮して投資不動産を法人と個人のどこで取得するかを検討することになります。


② 金融商品

金融商品を運用して財産を拡大していくためには、短期売買により利益を積み重ねていくスタイルを除くと、時価の上昇を狙いつつ、配当利子などの分配金を再投資して、長期的に財産を拡大し、世代交代後の相続税を支払っても、財産は拡大していることが望まれます。

個人における金融商品の売却益や配当利子は、源泉分離課税として一律20.315%の税率です。ですので、実効税率33.5%程度となる法人で運用するよりも、毎年の税額は低く抑えられる可能性が高いです。

一方、金融商品を個人が直接保有すると、その相続税評価額は時価評価されるため、相続税評価の点で不利に働きます。この点、資産管理会社の設立メリットで記載した通り、資産管理会社において、類似業種批准方式により評価できるよう金融商品を保有することで、相続税評価額が圧縮できる可能性が高い点に資産管理会社のメリットがあります。

なお、配当利子などの分配金を再投資して財産を拡大していく運用方針では、個人の資金から分離して、法人が運用管理することが、機械的に再投資する体制を取りやすいという面でもメリットといえます。


③ 事業会社などの非上場株式

事業会社などの株式を保有し、その会社の事業活動を支配、管理することを目的とした会社を持株会社といいます。

資産管理会社は、不動産や金融商品などの財産のみならず、事業会社の株式を保有する持株会社としてのメリットもあります。

その一つが、経営責任の明確化です。ひとつの会社で他事業に参入したい場合や不動産投資や金融商品投資を検討している場合、ひとつの会社では単独事業の損益や投資の成果は、他の事業と合算されてしまい不明瞭となります。

この不明瞭さは、ひとつの会社でも、部門別に損益計算することで対応可能ですが、単独部門の損益を算出し、事業部門が赤字であっても、他の資産管理事業などの黒字と相殺されます。

この場合、税金面では、黒字事業と赤字事業が相殺され、節税となり良しと判断されることが多いですが、利益は出ていないため、財産は拡大しません。

一方、持株会社化すると、事業の赤字は、会社単独での赤字となるため、黒字化を目指す体制となります。結果として、複数の事業(会社)すべて黒字化を目指し、財産拡大に役立つことになります。

その他、持株会社化による戦略機能を親会社に移管し、各事業のそれぞれの強みを発揮し単独で伸ばしつつ、複数事業のシナジーの発揮を図る体制が取りやすいといえます。また、事業部門を切り離すことで、M&A時の投資対象の評価が容易となります。

さらに、事業会社の株式承継、分割、支配権の継続に持株会社が有効となる場合など、置かれている個別事項によりメリットとなる場合が多々あります。

最後に、同族会社において持株会社化を実行する場合、非上場株式の相続税評価額を確認する必要があります。理由は、持株会社化により非上場株式の相続税評価額は下がることが多いですが、逆に上昇するのであれば、相続時に会社から納税資金を拠出せざるを得ない場合が生じるなど、経営に悪影響を及ばすことになるためです。


まとめ

資産管理会社を保有するメリットは、全体としては、複数人が管理運営に参画して財産拡大を確固なものとすること、及び、複数人が管理運営に参画することで管理を任せ、オーナー経営者の有効時間を確保していくことです。

期待される税金面では、法人と個人での毎年の納税額の節減、相続税評価額の圧縮となります。

また、通常財産規模が増えると、分散投資として複数資産を保有します。資産管理会社において各資産を保有していくかについては、このページの記載事項等を検討します。

「保有している財産を担保に借り入れして新規に不動産を購入する。借入金の元本や利子は、配当金や賃料で返済する。単発的な利益が発生した場合にオペレーティングリースを購入し、もしもの時に備えて法人保険へ加入する。引退時には退職金により法人資金を個人に取り込む。」

このように資金を回転させ拡大させていくため、個人と法人、各資産の法人運用でのメリット、デメリットを考慮し、資産管理会社の設立、運用方針を決めていきます。

法人と個人での財産拡大と節税のためには、資産管理会社の設立時の事前設計が重要になります。当会計事務所では資産管理会社の設立相談もお受けしていますので是非ご相談ください。

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