資産管理会社の設立メリット

資産管理会社とは

ここでは、資産管理会社を不動産、金融商品、一族の経営する会社の株式などの資産保有を目的に設立された会社と定義し、商品や製品の販売、もしくはサービスの提供を目的に設立された事業会社とは区別して記載します。

資産管理会社の設立のメリット

事業経営と同様、個人形態でも資産管理はできますが、個人事業と比較して、資産管理会社を設立することは、以下のメリットがあります。

① 個人より法人の税率の方が低い

個人の場合、金融商品の売却益や配当、利子などは分離課税として復興特別所得税を除き(以下同様)20%の税率とすることが可能ですが、不動産所得の場合、所得に応じて段階的に税率が上がり、最大55%となります。その他、不動産貸付業として事業税5%が発生し、各種控除を考慮しても所得の半分程度が税金として流出することもあり得ます。

一方、法人の場合、中小法人では、所得800万円まで実効税率23%前後、800万円超でも33.5%程度であるため、個人と比較して、法人で運用した方が、毎年の納付税額は低くなりやすいといえます。

② 家族で運用管理している場合、所得の分散を図ることができる

個人で運用する場合、家族で運営管理していても、専従者給与として一定の要件のもと支給できるに留まりますが、法人経営であれば専従者でない家族に対しても業務に応じた報酬を支給できます。

このため、一人のみの役員報酬として支給するよりも、運営に携わる複数の家族に支給した方が、累進課税である個人の所得税率は低くなり、トータルの年間納税額が低くなる可能性が高まります。

③ 法人形態の方が相続税評価額を圧縮できる

前述①で記載した、個人に比べて法人の税率が優位となるのは、不動産貸付業などの累進税率が適用される総合課税の場合です。個人における株式や不動産の売却益など分離課税となる所得については、税率20%で一律のため、個人で税金を納めた方が低いです。

では、金融商品を取得する場合、法人よりも個人の方が良いかについては、所得に対して納める税金のみであれば、通常は税率20%である個人で取得した方が良いといえます。

しかし、一族の財産として世代を超え、半永久的に財産を拡大していくことを方針とすると、資産管理会社にもメリットが生じます。その一つが、相続税評価額です。

金融商品を直接保有している個人に相続があった場合、その相続税評価額は時価であり、例えば、時価1億円の有価証券は1億円として評価され、1億円に対して相続税が課せられます。

一方、有価証券を保有している会社を保有している場合、個人が直接保有しているのは金融商品ではなく会社であるため、非上場株式としての相続税評価額を算出することになります。

非上場株式としての相続税評価額は、株式等の保有比率が総資産の50%を超えない場合、類似業種批准方式という方法により算出することが可能です。

類似業種批准方式では、有価証券の時価評価額だけでなく、会社の利益や配当、純資産額も考慮し、株式評価額が決定されるため、金融商品の時価よりも、自社株式の評価額が通常低い点にメリットがあります。

④ 財産の管理がしやすい

有価証券のみ保有しているのであれば、証券会社が作成する明細を保存していれば良く、管理は容易です。

しかし、財産が有価証券だけでなく、不動産やその他投資商品など多義に渡ってくると、管理は難しくなり、この場合は複数人が参画して管理することが望まれ、法人の方が向いてきます。

また、一人で管理することはできたとしても、事務スタッフや専門家に管理の一部を任せた方が、管理にかける膨大な時間が削減されます。

⑤ 財産が拡大されやすい

④の財産管理のしやすさは、事務スタッフや専門家を加えることにより、管理に費やしてきた時間が削減され、結果として、専門家を加えた、より高度な意思決定に時間を割くことが可能となります。これは、コスト以上の財産拡大が期待されます。

また、個人と法人の合計の年間納税額や将来の相続税評価額も考慮して、法人及び個人のどこで取得していくのが良いか、資産運用方針や財産分与方針も考慮していくことで、税金面からも財産拡大に寄与できます。

まとめ

以上から、資産管理会社の設立としては、当初は個人所得税の節税のために検討されることが多いですが、ある程度の財産規模拡大を目指していくには、資産管理会社を保有していた方が、相続対策や管理面、財産拡大面など複合的要因から、個人よりも優位になります。

なお、資産管理会社を設立する場合、お客様ごとの会社設立目的や財産状況によって、どのように資産管理会社を設立し、運営していくかの方法が異なります。

当事務所では、一律的に資産管理会社の設立をサポートするのではなく、お客様の設立目的を達成し、より節税され、財産拡大を目指す組織体となるよう、多様なノウハウを駆使し、資産管理会社の設立をサポートしています。

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