顧問税理士の特徴-節税の提案ができる

税理士と顧問契約を結ぶことで期待する役割の第一に節税が挙がることが多いです。

ここでは、当事務所が税務顧問契約の基本事項として織り込んでいる節税提案を記載します。

これら節税についての内容は難しい部分もありますが、会社に促されてから対応するのではなく、当事務所から提案し、実行します。

ですので、貴社の税金は、経営者が気に病むことなく節税されることになります。

① 役員報酬の金額決定
(オーナー経営者向けの節税対策)

役員報酬は、税務上、会計年度終了後3か月以内(会社設立時は、設立から3か月以内)に決定し、1年間毎月同額の役員報酬を支給する必要があります。

このため、役員報酬は、利益が出た月に多く、そうでない月は少なくなど、毎月変動させることができないため、事前に1年間の役員報酬額を決定しなければなりません。

節税の観点から言うと、オーナー経営者の意向にもよりますが、(a)会社が払う法人税、(b)役員報酬などで個人が支払う所得税、かつ(c)役員報酬により発生する社会保険料の金額が最小となるよう決定していきます。

会社が支払う法人税率は、所得(≒利益)800万円までは15%です。800万円を超えた部分は23.2%と高くなりますが、その後はいくら稼ごうとも23.2%で一定です。

一方、個人が支払う所得税率は、5%~45%まで所得の大きさに応じて税率が異なります。

このため、会社が獲得した利益全部を役員報酬として個人に取り込んでしまうと、法人税であれば税率23.2%であるところ、個人の所得4,000万円以上の部分の所得税率は45%と高税率となってしまうため、法人のみで課税させる場合に比べて節税とはなりません。

また、社会保険料も、健康保険は月額報酬135万5千円まで、厚生年金は月額報酬63万5千円までという上限はありますが、役員報酬の金額に応じて増加していきます。

このため、生活費として必要な金額を超えて会社利益の全額を役員報酬としてしまうと、法人税実効税率よりも所得税率等の方が高くなり、会社と個人のトータルの税金支払い額が高くなる可能性があります。

以上の点からは、役員報酬は、会社の所得(利益)水準、オーナー経営者の所得(収入)水準、会社及びオーナー経営者個人の財産状況などにより、法人税と所得税のバランスとオーナー経営者の意向(現時点でどの程度法人の財産を個人財産に取り込みたいか)により決めていくことが重要となります。

② 家族を役員にして所得の分散を図る。
(オーナー経営者向けの節税対策)

オーナー経営者にご家族がいて、ご家族が会社の懸念事項を一緒に検討したり、経理事務を担当したりしている場合、その役割に応じ、役員報酬を支給することができます。

役員報酬の金額決定でも記載しましたが、所得税は所得が大きくなるにつれ、税率が高くなります。

このため、経営者1人のみが役員報酬を受けるのではなく、ご家族でその役員報酬を分配した方が、ご家族が納める所得税の合計額は、経営者1人のみが役員報酬を受ける場合の所得税額に比べて少なくなる可能性が高く、節税となります。

③ 社宅

役員や従業員が、自ら住居を購入もしくは賃借する場合、住宅ローンの返済や家賃の支払いは、給与等の収入から所得税、住民税、社会保険料を支払った後の手取額から行います。

一方、会社が、自社物件もしくは賃借物件を、役員や従業員の社宅として提供することによっても、役員や従業員は住居を得ることができます。

社宅を用いる場合、会社と役員や従業員双方にメリットがあります。

まず、会社としては、経費の面からは、給与が建物減価償却費や建物賃借料に代わるのみであるため、節税効果はありません。

しかし、給与の減少により、給与の多寡に応じて変動する社会保険料の会社負担額が減少するというメリットがあります。

次に、役員や従業員のメリットですが、報酬は、実質的には給与と社宅提供となります。

しかし、社宅提供部分は給与ではないので所得税が発生しません。

ゆえに、節税となります。また社宅提供分の給与が減少するので、社会保険料の本人負担額も減少します。

もっとも、役員や従業員が社宅を利用する場合、一定額の家賃を会社へ支払う必要があります。

しかし、税務上で要求される一定額の家賃は、通常の家賃相場に比べ相当低い金額であるため、やはり社宅は役員や従業員へのメリットとなります。

④ 出張時の日当

旅費規程を作ることで、オーナー経営者に日当を支給し、損金とすることができます。

出張が多い会社の場合、日当制度を設けることで節税を図ることができます。

日当とは、出張中の食事代や諸経費として支給されるもので、旅費規程で定められた一律金額を役員や従業員に支給します。

例えば、1日あたり日当5,000円を定めた会社は、オーナー経営者が5日間出張する場合、日当として合計25,000円を支給します。会社は、オーナー経営者の出張中の食事代や諸経費として、日当合計25,000円を経費とすることができます。

また、オーナー経営者にとっても、日当は所得税が課税されないため、節税となります。

なお、職階により日当の金額に差を持たせることは通常ですが、オーナー社長のみ日当が支給されるなど公平性を欠く場合や、通常の食事代や諸経費として必要となる金額を大きく超えた日当を設定している場合などは、税務調査で否認されるリスクが高まるため留意が必要です。

⑤ 消費税

消費税の課税事業者、もしくは、翌期から消費税の課税事業者になる場合、節税検討は必須です。

というのも、次年度が始まる前までに届出書を提出しないと消費税が節税できない場合や、設備投資の際に消費税シミュレーションして節税を図るべきなど、節税される金額が大きくなりやすいためです。

逆に言うと、消費税の節税をおろそかにすると、会社にとって大きな損となる可能性が高いです。

インボイス制度に登録申請した場合、もしくは、課税売上高1,000万円を超えたその翌々年度から、消費税の課税事業者となり、消費税を計算する必要が生じます。

インボイス制度に登録申請すべきかどうかについては、会社の状況により最適と考えられる方法を検討する必要があります。

また消費税の課税事業者となる場合、簡易課税を選択するかが、消費税節税の一つのポイントとなります。

消費税の計算方法は、おおまかに言うと、売上等により預かった消費税(A)が、仕入や経費等により支払った消費税(B)よりも大きい場合、その差額(A-B)の消費税を納めます。

上記方法では売上と仕入や経費のそれぞれに消費税を設定していく必要があるのですが、簡易課税というより簡単に計算する方法が認められています。

この方法は、実際に支払った仕入れや経費の消費税を計算せず、預かった消費税(A)に一定割合を乗じた金額をもって、差し引く消費税(B)を自動的に算出するものです。

そして一定割合は、卸売業90%、小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)80%、製造業等、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)70%、その他の事業60%、サービス業等50%、不動産業40%と定められています。

このため、実際に支払った仕入や経費等に係る消費税(B)と売上等により預かった消費税(A)×業種により一定割合を乗じた金額(C)を比較し、(C)>(B)であれば簡易課税を用いた方が節税になります。

そして、簡易課税を適用するためには、課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。

このため、翌期の始まる前までに、来年度の課税売上高(A)と課税仕入(B)を予測して、また設備投資の有無を勘案し、簡易課税を選択するかを決めなければなりません。

なお、いったん簡易課税を選択すると、2年間は原則計算(A-B)に戻せない等の留意点があり、大口の設備投資等がある場合などは、慎重に検討する必要があります。

例えば、簡易課税適用中に、大口の設備投資をする場合、原則計算では、設備投資に係る支払消費税(B)>売上等により預かった消費税(A)の場合、消費税は還付されるのですが、簡易課税では、課税売上高に一定割合を乗じて差し引く消費税額を計算するため、必ず納税になります。

簡易課税を適用したばかりに、消費税還付が受けられなかったということが多々あるため留意が必要です。

なお、簡易課税は、その基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間についてのみ適用できます。

基準期間の課税売上高が5,000万円を超えると簡易課税を適用できず、原則方法により計算することになります。

⑥ 少額の固定資産を購入した場合

10万円以上の建物、機械、車両、備品などの減価償却資産は、支出時の費用とならずに、税法で定めた耐用年数に渡り、減価償却費として損金に計上されます。

しかし、10万円以上の固定資産であっても、以下のような特例があります。

(1) 一括償却資産

20万円未満の減価償却資産は、一括償却資産として3年間で償却できます。

どの固定資産を一括償却資産の対象にするかは会社が任意に決めることができます。

(2) 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

青色申告法人である中小企業者等は、年間300万円まで、取得価額30万円未満の減価償却資産を、全額その事業開始の年度の損金に計上できる特例があります。

この点からは、10万円以上30万円未満の場合、少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例を用いて、事業に用いた年度に取得価額全額を損金算入することが節税になります。

一方、償却資産の課税標準額が150万円以上になると、課税標準額に対して1.4%の償却資産税が発生します。この点、(2)の少額減価償却資産は償却資産税の対象となりますが、(1)の一括償却資産は償却資産税の課税対象外です。

以上から、償却資産税の節税の観点も含めて、一括償却資産として3年償却した方が良いのか、少額減価償却資産として事業に用いた年度に取得価額全額を償却した方が良いのかの検討が必要となります。

⑦ 固定資産の修繕費や改良費

固定資産を修理改良した費用は、修繕費として損金計上するか、資本的支出として固定資産計上した上で減価償却するかの2通りとなります。

税法上の固定資産の修繕費とは、その固定資産の維持管理、き損した場合の原状回復のための費用をいい、資本的支出とは、固定資産の使用可能期間を延長させ、またはその価値を増加させる支出をいいます。

よって、固定資産を修理改良した費用は、資本的支出に該当すると一括で損金処理できない可能性がありますが、修繕費に該当すれば発生時に一括損金処理できるので節税となります。

以下の場合は、修繕費か資本的支出かの判断をすることなく修繕費として処理できるため、会社の取引が下記に該当するかを検討します。

  • 一の修理、改良等のために要した費用が20万円未満
  • 修理、改良等がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが実績等から明らかな場合

また修繕費か資本的支出かの区別が明らかでない場合、以下に該当する場合は形式的に修繕費と処理することが認められています。

  • その金額が60万円に満たない場合
  • その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当以下である場合

このような点から、該当支出を修繕費計上できないか検討して節税を図ります。

⑧ 貸倒引当金繰入額の計上

売掛金などの金銭債権は、得意先などの倒産により、現金として回収できない可能性があります。

この点、売掛金などの金銭債権額に、法定繰入率(業種に応じて0.3%から1.0%)を乗じた金額を貸倒引当金繰入額として損金に計上できます(大法人等一部の法人を除く)。

貸倒引当金繰入額を計上すれば、しない場合に比べて損金計上額が多くなるので節税となります。

また貸倒引当金繰入額は資金支出がない費用です。このため、会社のキャッシュアウトはできるだけ先延ばしにするという財務の観点からも、積極的に利用すべきものといえます。

⑨ 短期前払費用の特例

前払費用はサービス提供を受ける前に支払った前払金であるため、サービス提供を受ける前は、経費とはならず資産計上するのが原則です。

しかし、支払った日から1年以内にサービス提供を受ける場合は、支払った時に損金計上することができます。

例えば、新聞雑誌の購読料や各種保険や保守契約など、1年分を前払いすると、翌期以降の購読料、保険料、保守料部分も当期の経費にすることができます。

このため、このような経費については、月払いではなく、継続して年払いにすることが節税になります。

なお、保険料や保守料を5年分前払いした場合など、1年超の前払費用は、1年分のみ経費計上できるのではなく、1年内も含めて、サービス提供を受けていない部分の金額すべてを資産計上することが求められている点に留意が必要です。

⑩ 前受収益の計上

受取家賃などは、翌月分を前受けする契約が多いです。
このような契約の場合、決算月の入金は、翌月分の受取家賃であるため、当期の収益に計上する必要はありません。

このため、もしこのような翌期以降に収益となる入金が当期にあれば、当期の収益計上とせず、前受収益として負債に計上することが節税になります。

以上は、当事務所で提供している税務顧問契約の節税内容です。難解な部分がありますが、当事務所が能動的に節税提案するので会社は節税されることになります。

なお、年1回の決算申告(スポット申告)のみをご依頼される場合でも、⑥~⑩は対策するので、節税できる可能性が高いです。

一方、①~⑤で述べた節税は、通年を通して継続して節税していくことが重要になるため、顧問契約の締結をお勧めしています。

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