税理士と顧問契約を締結するメリットのひとつが、融資の相談ができることです。
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①資金繰りの相談
創業、新規事業への進出、設備投資、営業資金が不足する場合などに、資金繰りを相談できます。
また、融資を顧問税理士へ事前相談することで、融資後の資金繰り、付随して申請できる補助金の情報などを得ることができます。
②融資相談
どの金融機関から融資を受けるのが良いでしょうか。
金融機関には、日本政策金融公庫などの政府系金融機関と民間金融機関があります。民間金融機関には、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合があるので、どの銀行に融資を持ち込めば良いか迷います。
さらには、信用保証協会を利用した制度融資もあります。
会社の規模にもよりますが、創業時は、日本政策金融公庫の国民生活事業からの融資や制度融資を受けるとしても、継続的に融資を受ける場合は、徐々に民間金融機関のみの融資に移していきたいものです。
この点、財務に強い税理士と顧問契約を締結すれば、融資や資金繰りを気軽に相談でき、かつ、会社の状況を継続して把握している顧問税理士なので、的確なアドバイスを得ることができます。
また、金融機関に融資をお願いする場合、どの金融機関にするかの選択は手間がかかりますが、顧問税理士から金融機関の紹介を受け、かつ、顧問税理士が金融機関との窓口になるのであれば、その手間が省け、効率的です。
さらに、財務を良く知っている顧問税理士が、やり取りのある金融機関との橋渡しをする場合、決算書は正確であると信頼されやすく、また、会社の状況を良く把握している顧問税理士が窓口となれば会社の財務状況の説明もスムーズなため、会社だけでなく金融機関にとってもメリットがあり、結果として、融資が受けやすくなります。
③金融機関への提出資料
金融機関とコンタクトを取った後は、金融機関から指定された必要書類を用意していきます。
必要書類は、金融機関や会社ごとによって異なりますが、一般的に2つの書類は必要です。
税務署へ提出した法人税確定申告書類一式
法人税確定申告書類一式には、決算書、勘定科目内訳書が含まれ、創業融資を除き、過去2期分から3期分必要です。
金融機関は決算書から財務状況を確認し、融資後の貸付金の回収可能性を判断します。
このため、決算書とそれを補足しうる情報を含むものとして、法人税確定申告書類一式の提出が求められます。
よって、あらかじめ、法人税確定申告書に添付する決算書は、融資に強い決算書であることが望まれます。
この点、決算処理で財務状況の見栄えを良くしておくことも一つです。
たまたま突発的に発生した多額の支出を、本業や継続性を示す販売費及び一般管理費や営業外費用区分ではなく、臨時異常な損失を示す特別損失区分に計上するなどです。
この結果は、1社に大きな時間を割けない金融機関の融資担当者が、会社の本来の経常的なキャッシュ獲得能力を見誤ってしまい融資が下りないというリスクを防ぎます。
また、そもそも論として、その会社の財務体質が良好かどうかが問われます。これは、決算書の作り方では改善しきれない、会社本来の姿のハナシであるため、継続的に財務状況を確認する経営体制が必要です。
会社に財務担当責任者(CFO)がいれば良いのですが、財務情報を見ながら社長と経営戦略をとることができる人材がいない場合、その役割を、財務に強い顧問税理士に任せることも選択肢の一つです。
財務担当責任者(CFO)の人件費よりも低いコストで顧問税理士を財務担当責任者(CFO)代わりに使うことができます。
事業(創業)計画書
融資審査では、事業(創業)計画書を金融機関に提出することが一般的です。
事業(創業)計画書は、融資を受ける事業についての経営ビジョン、戦略をまとめたものです。
経営ビジョンのもと、事業の概要、市場規模、競合他社の状況、その中でどのような戦略を取るか、ターゲット層、価格帯などをまとめます。その結果、当該事業の収支計画、資金繰り計画などを記載します。
金融機関の審査担当者は、提出された事業(創業)計画書が実現可能なものであるか、採算性などを確認し、貸付資金の回収可能性を検討し、融資判断をします。
このため、融資のため、さらに、その後の事業の指針とするために、実効性のある事業(創業)計画書を作成することが望まれます。
事業の概要は経営者の中にあるのですが、その事業をどのように進めていくか、それを財務数値として具体化することは、財務経営の知識と経験も必要となるため、専門的知識のある者がサポートした方が良いと考えます。
この点、事業(創業)計画書のサポートを社外に依頼する場合は、融資後においても、通年会社をサポートする、経営財務面にも強い顧問税理士に依頼することが最善と考えます。
③融資後
融資に必要な資料を提出し、その後、顧問税理士とともに金融機関との面談に臨み、ようやく融資の承認が下りることとなります。
融資承認が下りたことで、目的は達成されたと言えます。しかし、その後は、融資資金を用いて営業もしくは設備投資し、当該事業活動から得た資金をもって借入金を返済しなければなりません。
融資手続時に作成した事業計画や資金繰り表を指針として経営していきますが、企業活動は計画通りにすすむことは少なく、随時更新していく作業が必要となります。
借入金の返済という支出が増加するため、キャッシュフローを重視した経営も必要となります。
この点、顧問税理士は、融資の前だけでなく、融資後においても、会社の財務数値を把握する立場にあるため、財務に強い顧問税理士から継続的な財務的アドバイスを得、事業計画の更新や資金繰りに留意した経営を継続できるというメリットがあります。
以上、融資の一連の流れの中で、税理士と顧問契約を締結していると、融資の相談先としてメリットがある点記載しました。